白川 笈ヶ岳(オイズルヶ岳:1841m)
主からの報告 2007/01/03

今年の残雪の山歩きは4月30日、前泊:日帰り登山で笈ヶ岳(オイズルヶ岳:1841m)に単独で登りました。
  
  岐阜県白川村・石川県・富山県の三県分境にその山頂がありますが、夏道が無く登山適切期は4月〜5月の残雪期のみといわれている山です。ヤブ山ですが、日本二百山の一つに撰ばれてて、関西・関東からも訪れる人がいる名山?の一つです。
  
  登山ルートは、岐阜県:白川村の白山スーパー林道ゲートから瓢箪山経由ルート。富山県:大笠山経由ルート。石川県:一里ノ温泉からの、ブナオ尾根ルートといずれも20時間前後のため山中一泊が必要とされています。
  唯一、日帰りが可能なのが、今回登った石川県:中宮温泉口のジライ谷ルート(12時間)なのです。
  

  29日昼過ぎ岐阜発。夕方、主から明日の丸山行お誘いのメールが入るがすでにこちらは石川県に来ていました。  
  6時頃、白山スーパー林道の石川県入り口にある自然保護センターの駐車場に着いた。
  降りてきたばかりの登山者グループのリーダーらしき人が近寄ってきて『まだゲート開いてましたか』・・・・あと30分ほど温泉客を待っているとゲート管理人の言を伝えるとすごい喜んで『みんな、ゲート通過できるって。急いで車に乗って』、『早朝に登りはじめ、12時間で降りてきたけどゲートの時間が過ぎててね』
  
  山中の状況と徒渡の状況を確認すると『そんなにヤブは出てませんよ。徒渡は帰りは増水してて、ザブリと入って渡りました』・・・・こちらも収穫あり。  まもなく2台に分乗して出ていった。
  
  他に無人の車が2台のみ。まだ30分は明るいので明日のルートを少し散策。帰ってくると、愛知NOの車とテントが。こちらも単独行らしい。  コンビニ弁当の夕食、まもなく暗くなって車中泊。
  
  5時前起床、5時30分スタート。・・・目標は12時間、5時30分帰着予定。
  歩き始めてのすぐのトンネルを抜けて水平歩道から野猿公園へ。徒渡は、ひとまたぎで簡単にクリアー、帰りは?。  
  ここからいきなり急登が続く。ロープ・根っ子を掴みながら延々登る、屏風山より急だ。帰りの下りは慎重に下らねばと心に留める。
  垂直の大岩あたりから緩やかになり、1200mを超えるあたりでピークを二つ越す。尾根の夏道ははっきりしており、迷うところは無い。
  

高度が上がり、1400mを越したあたりから雪がでてくる。雪上歩きからは赤布を探しながらブナオ尾根からの合流点?に到達。雪尾根分岐の赤布ポイントをしっかり確認。

 快晴、振り返ると白山が素晴らしい。主たちの登っている丸山とは白山をはさんで、ちょうど反対側になります。

 トラバースルート・テント適地の冬瓜平には下らず冬瓜山へ向かうが、尾根が急になると雪は無くなり踏み跡と赤布・テープが道案内。最後の急登は根っ子を掴みながら上がるとそこが冬瓜山山頂でした。はるかに遠く笈ヶ岳が見えた。・・・・遠い〜!しばし撮影休止。・・・・ここでテントの単独行者に追い越される。
 この先が最大の難所、幅数十cmの冬瓜ナイフリッジ。しかし雪は着いてなく簡単に超える。

 冬瓜山からシリタカ山へ。山頂から踏み跡をたよりに垂直に下きると、また雪斜面が出てきた。残雪尾根の小ピーク山頂は雪がなく、根っ子を踏みながら超える。

 シリタカ山へはなだらかな雪斜面が続くが、本日二人目の単独行者に追い越された。
 シリタカ山で休止、目の前の笈ヶ岳が大きくなってきた。
でっかいザックの男性グループが下山してくる。早い!・・・・聞くと昨夜はテン泊したとのこと。

 ・・・県境までまだまだ遠く、登りのペースが落ちてきたのでここでアイゼン装着。

 次のヤブピークは大きい、登らずに雪のついている右斜面に踏み跡があり雪上をトラバース。

 最低鞍部から県境を目指すが、直登ではなく、左方面にトラバースルートがついている。雪が硬いときは注意ポイントだけど、雪がゆるんでいるので安全に行ける。

 トラバースから直登ぎみに県境に向かい、まもなくササヤブ。南東面はすべて下向きのササヤブで全く進めない。15m?ほどのササヤブを超えると県境尾根にでた。尾根の北東斜面は雪がついているので楽に歩ける。

 小笈ヶ岳(1800m)手前でテントの単独行者が下ってきた。記念写真を撮ってもらう。山頂には冬瓜平からトラバースしてきたという3人組がいるとのこと。彼らが下る前に着きたい。次のピークを越すと年配単独行者が帰ってきた、皆さん早い。

 県境の北東側斜面を歩き、直下のヤブを超えると山頂着。11時55分、ほぼ目標の12時に着けた。360度の大展望、10名はゆっくりできそうな頂上。大きな白山・別山、目の前の大笠山がすばらしい。

 山頂にはラーメンタイムの地元石川県の3人組のみ。私が最後の登山者か。
 山名木柱・三角点を記念撮影。缶が二つあり、それぞれに小ノートがあったので日付けと名前を記帳、登頂の証拠とする。

 石川県・岐阜県・富山県の三県境はここだけの貴重な地点、それがこの笈ヶ岳山頂。石川県登山口から入り、岐阜県県境尾根を歩き、最後は富山県の地も踏みました。
 
 3人組と、冬瓜平トラバースルート・冬瓜山ナイフリッジの情報交換をする。ナイフリッジに雪がなければ冬瓜山山頂経由のほうが安全で早いとのことでした。
 岐阜にはいい山が多いでしょうと滝波山・若丸山などの情報も聞かれる。

 山頂滞在20分、彼らより早く12時15分山頂発。県境尾根からヤブに入るところの目印を確認し、15mほどのヤブも下りは簡単。

 シリタカ山で休止、笈ヶ岳をしばし眺める。
冬瓜山の手前で単独行者に出会うが、これから笈ヶ岳に行くらしい。よほど足が早いのか、途中テント泊か。

 追い越して行った3人組も帰りは冬瓜山を超えて行く。山頂手前でアイゼン外し、ピッケルをザックに固定。ナイフリッジを渡り、山頂からの尾根急降下は慎重に下る。

 傾斜がゆるくなると、また雪斜面。尾根分岐近くになると慎重に歩き、分岐の赤布を見逃さないように。まっすぐ行くとブナオ尾根に下ってしまう。雪が無くなってジライ谷尾根に入れば、あとは一本道。1271Pと次のピークを超え、まもなく大岩。

 ここからの下りが本日最後の難所。400m急登の下り、滑りやすい。危険箇所は虎ロープが付いているが、根っ子・岩などホールドを確実につかみ急がずゆっくり下る。
無事に降りたちホット一息つけた。

渡渉点はやはり水量が増えている。水中は流れが速いしヒザまでつかりそう。渡渉ポイントを観察、飛び移る岩に一気に乗り移り無事超えた。水深30cmぐらいだけど、ここから先は遊歩道なので水中に入ったほうが安全です。

 最後の遊歩道を軽快に歩いて5時前車着、総合タイム:11時間20分でした。顔を洗って急いで着替え。15分後に車スタート。ゲートに着くと管理人がゲートを閉める準備中、なんとかもう一晩の車中泊はまぬがれました。

 今回の笈ヶ岳登山、ゆっくりでも休まず歩くを心がけた。60分ぐらいに一回水分補給と栄養補給で2〜3分ぐらい休止。あとは時々撮影タイム停止など。

 帰りも片道190km。途中、温泉はいつもの九頭竜温泉で汗を流す。お友達に笈ヶ岳無事登頂下山を連絡。帰りの東海北陸道は快調に走り、夜10時に帰宅。二日ぶりビールで乾杯!!。




 

☆笈ヶ岳 アタック アドバイス
  
@スキー場すぐのゲートは開門は8時〜5時半。ゲート閉まっていると、スキー場から歩き50分ほどかかる。もしくは出られず、一晩越すことになるかも。  
A保護センター早朝発:12時間で往復が標準か。早い人は10時間で往復、遅い人は14時間の記録も多くみかけます。・・・・また雪の条件でも大きく変わる。
 Iさんや主のような高速Aチームならば10時間弱で余裕か。
B時間オーバーの時、大岩を過ぎてからジライ谷への急下りは一番の危険地帯なので、ヘッド点灯での下山はムリ。