藤原岳(1145)


2006年1月9日(晴れ) 単独行 


7:26 大貝戸道駐車場

9:21 八合目

9:44 藤原山荘

10:07〜23 展望丘

11:33〜13:34 天狗岩

15:07 大貝戸道駐車場


珍しく好天となった成人の日。年末のリベンジというわけではないが藤原岳に登ってきた。

今回も大貝戸道から登ることにした。まだ7時というのに大貝戸の駐車場は既に数台の車が停まっており、先行者が何人かいるようだ。出発の準備中の方も数人みえる。やはりこれだけ天気がよいとメジャーな山は人出が多い。

途中コンビニで用意した食糧などをザックに詰め準備完了…のはずだったのだがここでワカンを忘れてきたことに気付く。しかし、まあ、先行者がいることだからアイゼンだけで何とかなるだろうと出発した。

積雪量は年末29日に来たときより若干減っている感じだ。あの時はショートスキーを楽しむ予定できたが予想外に体力を消耗したのと、山頂は晴れているものの風が強そうな感じだったので8合目で引き返した。今日は穏やかな天気になりそうだ。今日の方がスキーには良かったのかもしれない。

藤原岳大貝戸道登山口

登山道はしっかり雪が踏まれている。踏まれてかなり固くなっている。気をつけないと滑りかねない。たまらず4合目からはアイゼンを着けた。

前回は5合目手前ぐらいで木々が雪の重みで行く手を塞ぐように登山道に覆い被さっていたが、今回はそれもおさまっていた。トレースに新雪が積もってることもなく実に歩きやすい。

前回引き返した8合目から先は今回も新しい踏み跡はない。というか本日の先行者にここで追いついてしまった。ここから先は自分で新しい踏み跡を付けていかなければならない。といっても昨日、一昨日の踏み跡がわずかながらに確認できるのでそれを辿っていけば概ね間違いはなさそうだ。

わずかにのぞく踏み跡を辿って冬道へと入っていく。新雪は所々で膝下ほどまである。新雪のかぶってないところは雪が固くなった急斜面となっておりアイゼンの爪を利かせたキックステップで進んでいく。

9合目に至ると南方面への視界が広がる。空気が澄んでいて伊勢湾まではっきり見える。山頂での眺望が楽しみだ。

九合目

藤原山荘へは意外と早く着いた。8合目から20分少々だ。こんなだったら前回スキーを担いで登っておくべきだったか。しかし、そんなことを今更後悔しても始まらない。今日は今日の、この前はこの前の登山があるだけだ。

藤原山荘の前では泊まりのパーティーが下山の仕度をしていた。お一方から「本日の一番乗りですよ。早いですねえ」と声を掛けられ思わずありがとうございますと答えてしまった。職業病だろうか。ここから展望丘まではこのパーティーが今朝ほど付けてくれらトレースがあり楽に歩くことができる。冬の藤原岳では展望丘にあまり行ったことがないが久し振りに訪れる気になった。

久し振りに訪れた展望丘は、穏やかに晴れ渡り360°遮るもののない大展望が広がっていた。近くは鈴鹿山脈の山並み、遠くは乗鞍、御嶽。一際目を惹くのは白山と、その左隣に見える能郷白山だ。まばゆいばかりの白さが神々しい。

晴れ渡る展望丘
しばらく風景に見とれていたが、そのうちなんだか天狗岩に行きたくなってきた。藤原荘の裏の台地を見るとどうやら今のところそちらには踏み跡がなさそうだ。ワカンもないしどうしようか迷ったがせっかくの好天だから行ってみることにした。

藤原荘に戻ると、後続の登山者で結構賑わっていた。その中をまだ踏み跡のない藤原荘の裏へと踏み出す。わずかながらに雪の表面にトレースが新雪に埋まったような跡がありそれを辿っていく。台地の高みに出ると、北側の風景が広がる。霊仙山や伊吹、奥美濃の山々が眼前に広がる。数年前に同じように穏やかな日、この場所で積雪の中を歩いた事がある。その時、まるで天空を歩いているようだと思ったものだが、本日もそれに劣らない、それ以上と言っていい眺めだ。こちらに足を向けて正解だった。

真っ白な伊吹山

台地を過ぎると樹林帯の中へと入っていく。トレースは消えたり現れたり。アイゼンだけでのラッセルは時折膝上まで沈むことも。また、積雪のため枝が胸や頭の位置にきて行く手を阻む。進むのに苦労する。

トレースを追うのに夢中になっていて知らぬ間に天狗岩への分岐点を過ぎてしまい、その向こうの丘に出てしまった。しかし、ここからの眺めも絶景で間違いもしてみるものだ。天狗岩の分岐点まで戻ると、僕の付けたトレースを辿ってきたらしい二人組が天狗岩の方に向かっていた。僕も二人を追うように天狗岩に向かった。

天狗岩からの眺めもすばらしいものだった。特にちょっと小高い位置から見られる北側の眺めが良い。その方向はまさに僕の登山フィールドが広がっている方向で、これを肴に酒を飲まずして何時飲もう、と言う感じだった。というわけで、ここで休憩することにした。もってきた焼酎で乾杯。飲み過ぎちゃいかんなと思いつつ、いつもよりついつい酒量が多くなってしまう。これもすばらしい眺めのせいか。

天狗岩から藤原岳展望丘をのぞむ

たっぷりと休みをとって、まだアルコールのたっぷり残る身体で下山を開始する。下山は冬山のお楽しみ“尻セード”。尻セードの跡もかなり残っているからそれを辿って滑っていく。気持ちいい。本当にこれだけでも登ってきた甲斐があるというものだ。積雪も多いのでかなり下部まで尻セードできる。本日は本当に最後まで楽しい山歩きができた。また何時かこの様な山歩きをしたいものだ。