表山(838.5)


2006年11月25日 土曜日 (曇り) 単独  


7:50 石畑 大桑神社

8:10 尾根取り付き

9:10 539m地点

9:45 岩峰

10:07 845mピーク

10:25〜40 870mピーク(裏山)

11:07 表山三角点

11:55 もみじ峠

12:37〜13:30 三方山

13:53 513.4m三角点

14:40 京ヶ脇

15:00 大桑神社


久し振りに山歩きに行くことができた(^^;。

ここのところ、週末になると天気があやしげだったり、足を怪我してたりでなかなか山に向かうことができなかった。足は、膝も含めて万全ではないが何とかなるだろうと向かったのは近場の養老、表山。

表山は、この春にも山頂にダイレクトにつながる尾根を登った。その後、一番弟子(て言ったら怒られるか(^^;)の友人Nから「勢至からの尾根を登って表山へ行って来た」という話しを聞いた。何!そんなバリエーションルートを相談もなしに登ってきただと!けしからん。ということでいつかそのルートを辿ろうと思っていた。

友人Nの登ったルートをそのままトレースするのもおもしろくないので、下山ルートを少し工夫。地形図を見ると三方山から養老公園南の京ヶ脇に下る尾根が何だか気をひく。下れるかどうかは分からないが挑戦してみよう。しかし、これだと登り始めの勢至までかなり距離がある。ここは、久し振りにエコカーにご登場願おう。

養老公園を横切る道を進んでいくと京ヶ脇の集落に入る。すぐ東海自然道に出合いそこにエコカーをデポ。近くに神社がある。下山はこの神社に下りてこられると良いのだが。

登り口の勢至に向かう。あまり上部まで車を乗り入れるとエコカーで帰るのが大変なので尾根取り付きまでは歩くことにして石畑の大桑神社の駐車場に車を停める。準備を整えて出発。

神社前の舗装路を歩いていくと勢至の集落へ。犬の散歩をしている人と何人かすれ違い挨拶を交わす。地形図で寺院のマークがついているところにはお堂が建っていてその前には「勢至鉄座之址」という石柱が立っている。「鉄座」ということはここらで鉄でもとれたのだろうか。

お堂の脇の道を山へ向かって進むと東海自然道に出合う。少し行くと自然道から分かれて谷筋に向かう踏み跡が現れる。どうやらここから入っていくらしい。ここを少し入り右手に適当に草を踏んで行くと涸れた沢に出る。ここを渡って尾根の取り付き場所を探す。

地形図を見るとこの尾根には点線道がずっとあり表山まで続いている。その点線道が生きているとも思えないが痕跡ぐらいは残っているだろう。今回はその痕跡を拾って登っていこうという魂胆である。しかし、なかなか取り付き場所が分からない。しかたがないので適当に小尾根に取り付く。

小尾根は下では緩やかだがやがて急登となる。獣に踏み荒らされたような斜面だがまあまあ登りやすい。一登りして左手側からの小尾根と合わさったところで左下を見るとあれま、道のようなものが。それも結構広い。もちろん現役のものではないがもう少し取り付きを上部まで探せばこの道があってもっと楽して登れたのかも知れない。

ここから名古屋方面が眺められた。朝靄に浮かぶツインタワー近辺がSF映画の未来都市のようで幻想的に見える。しかし、今日は昨日までの天気予報では「晴れ」ではなかったか。今見ると雲が空を覆っている。一日もってくれるのだろうか。

両側の崩れた短い痩せ尾根を越えると再び溝状になった点線道の痕跡が現れる。この痕跡を辿りながら登っていくとやがて尾根は幾つかの小尾根を合わせて広い尾根へと収束していく。

広い尾根には、幾筋かの似たような溝が平行に通っておりどれも古い道の跡なのか、それとも自然にできた溝なのか判別できない。この溝は登るに従って他の溝と合わさったり谷からの溝があがってきたりしておりずっと一本通っている感じでもない。もしこの尾根を下りに使うとこの溝に迷わされて思うところに下りていけないのではないかと思う。目印も全くない。もちろん僕も下りに使うつもりがないので目印はつけていない。

尾根上は自然林が続く。紅葉は今が盛りで色とりどりの木々が目を楽しませてくれる。これで晴れていればもっと良かったのだが…。

溝は相変わらず続く。一旦、地形図539m地点で収束するがその先再び数本の溝が現れる。
地形図上の寺院マーク(卍)の所にはお堂が…
小尾根を一登り 朝靄に浮かぶ幻想的な風景
539m地点 そろそろ晩秋の雰囲気
ガレ場に残る古道の痕跡…この写真ではわかりにくいですね

溝はどこを歩くのが良いのか分からない。溝の中は落ち葉でふかふかして落ち着かないし時折倒木が邪魔したりする。かといって溝の脇の高みはしまっていて歩きやすいもののすぐ灌木が行く手を遮ったりする。結局、その場に応じて溝の中を歩いたり上を歩いたり。なんだか落ち着かない。

やがて尾根は徐々に細くなってくる。それに比例して斜度も増してくる。左手からの尾根も近づいてくると最後の急登となる。ここら辺りはすでに木々も葉を落とし晩秋の雰囲気だ。

急斜面には一目見てそれと分かる古い道の痕跡が残っている。しかし、灌木が邪魔しているので辿っていけそうにはない。この道もこのまま埋もれて崩れていくのだろう。

古い道の右脇の急斜面を木々を掴みながら登っていく。一登りして一旦古い道跡に出る。少し辿ると見晴らしの良いところに出る。そこから左手斜面のガレ場に道の痕跡が。これは歩けそうなので辿ってみる。ここは伊吹山の古道に似てほんのわずかな距離だが良い感じだ。

ガレ場をトラバースするように進んで、そこから右手に回り込みガレた岩場を足下に気をつけながら一登り。すると見晴らしの良い岩峰の上に出た。

思いがけない素晴らしい眺めだ。全く予想していなかった。ひょっとしたら、僕の見た養老の展望の中で一番かも知れない。時間があれば大休止するのもいいが今は先がまだまだ長い。後ろ髪を引かれながら岩峰を下りる。

再び古い道の跡を辿る。もうここまで来れば道はほぼ水平で山腹を巻くように進む。時折灌木が邪魔するが越えるのが困難なことはない。

ピークを巻いて笹に覆われた小さな吊り尾根に出る。いつの間にか道跡も消えている。ここから西を見ると稜線上の植林帯が笹原の向こうに見える。そちら方面にむけて笹の薄いところを拾って進んでいくと笹が急に消えて中心に木が一本だけ立つ不思議な広場に出る。人工的な広場ではなさそうだ。

広場を越えて若干の萱藪を越えると植林帯に出る。左手方向を見ると870mピークが見える。笹原を漕いでそのまま直接行けば最短距離なのだろうがとても背丈以上ある笹藪を漕ぐ気にはならない。ここは植林を辿って進んでいくのがベターだろう。

植林の切れ目はほぼ旧上石津町の町界線上に続いているようだ。それを辿っていけば自然に870mピークに出そうだ。

緩やかな斜面を払われた枝を踏みしめながら進んでいく。一旦845mピークに出て更に植林の中を歩いていく。笹原と植林の境を辿っていき一旦鞍部におりそこから再び緩く登り返していくと見覚えのある870mピークに出る。この春、地べたに落ちていたのを枯れ木に掛けておいた「裏山」と書かれたパネルもそのままだ。

曇っていて伊吹山は見えない。霊仙もぼやけている。もちろん日差しはなく風もやや強めで長くはいられそうにない。今日の大休止は三方山までお預けだな。
岩峰からの眺め 養老一等の眺めかも
不思議な広場 鹿の痕跡が残っていた
845mピークとの鞍部付近から870mピーク
表山三角点付近…なんだ!この紫の紐は!!
木にイニシャルを刻む…信じられへん
どら焼きでエネルギー補給して出発。表山三角点を目指す。南東方向の尾根を少し下りそこから左手側の笹の生い茂る斜面を下っていく。下りはじめようとした辺りにこの春つけた目印を偶然見つけた。春にはこの斜面をここにむけて登ってきたのだ。

背を超す笹を漕いで下っていく。登りは大変だったが下りは楽だ。あっという間に鞍部に下りる。ここから反対側の笹に埋もれた斜面を登り返す。しかし、それほど笹は濃くないので比較的楽に進んでいける。尾根筋をはずさないように注意しながら進んでいくとすぐに三角点に出た。

三角点付近は、この春にくらべ随分人が訪れた気配がある。春に来たときも初めて登ったときにくらべると人に登られているなと感じたがこの短期間にこの雰囲気の変わり様はどうだ。

許せないのは木にイニシャルなのだろうか「AA」と刻んであること。なんだこれは!という感じだ。それと、紫の荷造り紐がそこら中に巻かれている。まさかこれは鹿避けではあるまい。この二つがこの三角点の良さを思いっきりスポイルしている。静かで自然な感じが良かったのだが…。

ちょっと気をそがれながら三方山へ向かうために南西の灌木帯に続く踏み跡を辿る。そちらにも紫の紐が…。しかも三本先まで見えるようなピッチで…。古い目印が分かりやすくしてあるのに…。思わず笑ってしまう。笑うしかない。

ピークを過ぎてからは紫の紐はなくなりやれやれ。と思って気を抜いていたら町界線上を進んでいくつもりがいつの間にか違う尾根を下っていた。いかん、いかん。慌ててルートを修正して町界線上に戻る。

町界線上を進んでいってもみじ峠に出そこからは三方山までは一般道を進んでいく予定だ。この町界線上には薄い踏み跡と目印がある。踏み跡を辿って鞍部を越え急斜面を登り返したところから短い丈の笹原が続く。初めてここを通ったとき良いイメージをもっていたので再び訪れたのだがやはり良い感じだ。今日は紅葉もあって一段と素敵だ。このコースを通って良かった。
丈の低い笹原の台地…気分のいい台地だ
思いがけず池に出会う 良い感じの池だ
三方山より東の尾根を望む どんな尾根か楽しみ
こんな所にも紫の紐が(TT)

しばらく進むと池が現れた。池があるとは知らなかっただけに感激だ。前に来たときは違う尾根を進んで出会えなかったのだろう。落ち葉に水面を半分ほど埋めて静かな佇まいだ。一般道が近いはずだが人はあまり訪れてないようで荒れていないのもいい。

すぐに一般道に出る。ここからは稜線上の整備された道を上り下りしながら笹原峠を経由して三方山へ向かう。しかし、これが疲れた身体に結構利く。それと、朝飲んだ鎮痛剤の効果が切れて膝の痛みや怪我の痛みが出てきてそれがちょっと苦になる。

幾組かのハイカーと挨拶を交わしながら進んでいく。空は相変わらず曇天だ。ここまで降ってこなかっただけでもよしとしよう。晴れ男もここのところ効力を失いました。

今回は小倉山や、養老山はパスして笹原峠から直接三方山に向かう。三方山は誰もいない。ちょっと風があるが上を羽織れば気にならない。予定通りここで休憩。脇を見れば、わあ、ここにも紫の紐が…。取りあえず笑っておこう。

休憩中、何人かここを訪れた。話した方は一様に「いい眺めですね」確かにいい眺めで僕も好きなところだ。
眺め的には360度の展望がある小倉山にはかなわないが静かで休むにはこちらの方がいい。晴れていて御嶽とか乗鞍、白山なんかが見えるともっと良いんだけど。

一時間ほど休憩して、いよいよここから東に延びる尾根に下っていく。どんな景色が待っているのか楽しみだ。

最初はちょっと藪っぽいがすぐに安定した尾根となる。下草は全くない。ここも溝がいくつかある。気持ちのいい尾根のようだ。が、しかし、またしても紫の紐が…。必要のないピッチと場所で…。

現状をできうる限り変えない、というのがハイカーの最低限のマナーではないかと思う。「ローインパクト」とは死語に近いが今でも注意すべき大切なことに違いはないだろう。荷造り紐は「ハイインパクト」だろう。しかも紫。自然になじまない。必要最低限の場所にあるならまだ許せる。他の目印があったり明らかに間違えそうにないところにこれだけ目印をするのはマナーに反していないのだろうか。

とにかく、この紫紐に興をそがれてしまい、楽しみにしていた尾根も楽しめずただ早く下りたいという感じになってしまった。
513.4m三角点 いい尾根なのになあ
ピンポイントに神社の社へ神のお導きか パン パン
帰りしな今朝登った尾根を見る なかなかいい尾根だ

下部に至ると紫紐はどこか違う尾根へ下りていったのか見あたらなくなった。やれやれ。しかし、ここからは植林地帯で急斜面を下りるのみである。うまく朝エコカーをデポしたところの神社に降りられるかどうかだけが気になる。それも神様のお導きなのか偶然にも神社の社にほぼピンポイントで下りることができた。ありがたい。後はエコカーでもみじ狩りの帰り客で込む道路脇をスイスイ進んで車に戻る。本日も楽しい山歩きであった。紫紐さえなければ…。