木梶山(1230.2/台高)


2006年12月17日 日曜日 (雨) 
panaさん、旅人さん、そのお友だち2人、伊勢山上住人さん、Tsutomu


8:00 木梶林道鳴滝展望駐車場

9:00 飯場跡

9:35 木梶山

10:45 馬駈ヶ場

11:30〜12:15 木屋谷

12:55 尾根分岐

14:45 鳴滝展望所


ネットで知り合った伊勢山上住人さんの案内ではじめて台高を訪れた。

台高は全く未知の山域。ガイドやネット上の書き込みを見てもイメージが湧いてこない。だから、今まであまり興味もなく過ごしてきた。しかし、このところ僕の参加しているネット上でこの山域のことが賑わしい。俄然、どんなところだろうと興味が出てくる。調度、伊勢山上住人さんがこの辺りの案内をかって出ているらしい。これに便乗して今回の山行となった。

前日の会社忘年会は注がれるビールを泣く泣く断って控えめに。何時も通りにやってたらとてもじゃないが朝起きられない。

4時少し前に起床。前々日に準備は済ませてある。4時半には家を出て待ち合わせ場所の松阪ICへと向かう。

6時ちょい過ぎにICを出ると傍らに車を停めてガサゴソやっている人が…。背が高いのですぐ分かる。伊勢山上住人さんだ。

「おはようございます。よろしくお願いします」
「まずは、車を置きに行こう」

自然公園だという駐車場に僕の車を捨てて国道166号線を県境の高見トンネルへと向かう。

国道は良く整備されたきれいな道だ。その脇を櫛田川の清流が流れる。やがて清流は木梶川へと繋がる。伊勢山上住人さんはこの川を中学生の頃から歩きたかったそうで、その念願が今年叶った。そして、来年以降は更に奥へと繋げていきたいとのことだった。幼い頃の思いをもって実現していくというのは素敵なことだ。

車は清流を離れループ橋を登っていく。晴れていれば絶景だそうだが、今は雲の下に隠されている。しかし、そこにある空間の広さがその眺めのすばらしさを予感させる。晴れた日にぜひ訪れなければ。

高見トンネルに至るとその手前の駐車場に車が既に停まっている。伊勢山上住人さんからネット住人の名前が出てくる。「あれは○○さんやな」

トンネルをところのトイレにも車が一台。「○○さんや」

なんだか勢揃いといった感じである。人気があるんだなあ。こんな天気でもこれだけ訪れるとは。

自然に負担を掛けたくないからという伊勢山上住人さんの意見でここで用を足してトンネルを戻るとpanaさんご一同が駐車場に到着していた。ここから木梶川沿いの林道を辿って鳴滝展望駐車場に向かう。

駐車場に車を停めておのおの準備を始める。少しパラついているし空も雲が濃い。ここは、歩き始めから合羽を来た方が良さそうだ。伊勢山上住人さんは合羽を来て登るのは暑いからいやだなあと浮かない顔をしているが仕方ない。

準備の整ったところで続く林道を歩き始める。ここからは倒木があったりして林道が荒れていて車は入れそうにない。

今回のメンバーは初心者が二人いるのでゆっくり目だろうと高をくくっていたのだがどうして、林道を歩くペースは意外に速くてともすると置いていかれそうになる。

ここで伊勢山上住人さんのガイドが入る。

「あそこが地蔵谷の出合い。ここの尾根を登ると水平にソマ道があって辿っていけます」

しかし、伊勢山上住人さんはこの地蔵谷ばかりモテることが不満のようだ。木梶谷(ゼエノ谷)もいいのに誰もレポしてくれないと嘆いていた。

「名前がいいんじゃないですかね。地蔵でもあるのかな」

林道終点から登山道へとはいる。すぐに木梶谷(ゼエノ谷)の出合いにでる。

「谷を登るのもいいけど大変だから今日は山腹道をいきます」

その取り付きに二俣の間の尾根に取り付く。

「今日の急斜面は、ここだけだから。ちょっと物足りないかもしれないけど」

そんなことを言っている割にこの後にもなかなか大変なところがあったような…。
木梶谷(ゼエノ谷)水平道から見えた滝
水平道を下りると穏やかな渓相に
木梶山山頂。徐々に吹雪の様相を呈してくる。
木屋谷林道付近の原生林。素敵な樹林帯だ。

左下に谷の流れを見ながら水平道を進んでいく。やがて正面に多段の結構な滝が見えてきた。

「いい谷じゃないですか。夏にのんびり歩いてみたい」

滝を越えて水平道から谷芯へ下りる。ここも穏やかな渓相で良い感じだ。

穏やかな谷をしばらく歩いて「飯場跡」をこえたあたりで右岸の山腹に取り付く。本当はこの山腹を上がった尾根上にずっと手前から登山道があるらしいのだがそちらは目印のテープが一杯で趣がないのであえてはずしたルートをとっているらしい。

山腹は伊勢山上住人さん曰く「下草もなく藪もないどこでも歩ける樹林」というだけあって本当にどこでも登っていけそうだ。登りになると俄然ファイトが湧いてくる。ファイトし過ぎで何時の間にやらみんなと離れてしまった。いかんなあ。集団行動をせねば。といいながらどんどん進んでやがて尾根上に出る。

尾根上には確かな踏み跡と目印。地形図で確かめるとここからわずかで「木梶山」三角点だ。しばしみんなの到着を待つ。何時の間にやら雨は雪に変わっておりうっすらと足下を白くしている。

全員がそろったところでpanaさんからトマトの差し入れ。急登でちょっと渇いたのどを潤すのに調度いい。ナイスタイミングだ。 それにトマトは大好物。おいしい!

わずかで「木梶山」三角点に出る。尾根の分岐点といった感じの何の変哲もない山だ。今日はここから更に尾根を進んで最終的には国見山に至る予定だったがここでガイドさんからルート変更が告げられる。国見山までは行かないらしい。初心者にはきついためだ。仕方ないだろう。ここまでも十分楽しかったから不満はない。

木梶山から南東に続く尾根に進んでいく。すでに雪が数センチ積もり雰囲気は雪山だ。なかなか楽しい。尾根を進んでいくと、右手が開けたところに出る。晴れていれば大パノラマが展開されそうだが今日はそれも雲の中。それでも伊勢山上住人さんが「あの辺りが伊勢辻で、あの辺りが高見で…」などと案内をしてくれてこちらもその山並があたかも見えるような気がしてくる。

吊り尾根を渡り終え分岐点を一旦左手側に進むと木屋谷林道終点に出る。このあたりわずかに山腹を下ったところが原生林ということだがどれどれ。おっ!本当だ!すばらしいブナが何本かある。雪の中でしばし見とれる。ここから右手に山腹を回るように辿って素敵な樹林散策。一周して林道終点に戻った。天候が良ければもっとゆっくりしたいところだ。

分岐点まで戻って今度は西に延びる馬駈ヶ場の尾根を進んでいく。途中、伊勢山上住人さんのお気に入りの場所という岩場によったがなかなか雰囲気が良かった。ここでコーヒータイムをとるのが好きというのがよく分かる。今日は天候が良くなくて残念だ。

馬駈ヶ場を越えて下りに使う尾根の分岐点を確認。ここは尾根がどこから派生しているのかわかりにくい。地形図で注意していても分からないだろう。しかし、しっかりとした自然の目印がある。伊勢山上住人さんが「イナバウワー」と呼ぶ特徴的な木だ。それが尾根分岐の目印。

そろそろ、時間は昼に近くなっている。どこでランチをとるか思案。左手の木屋谷へおりて風を避けてランチにしようということになり木屋谷へ急斜面を下っていく。伊勢山上住人さんと僕が代わる代わる斜面を偵察しルートを刻んでいく。それでなんとか全員無事に谷芯に下りることができた。

谷芯には調度休憩向きの広場がありそこに荷物を広げ思い思いに食事をはじめる。
ここも木屋谷林道付近。 ZIPPブナとか…
尾根分岐の目印「イナバウワー」なるほど!
木屋谷で見つけた素敵なランチ場所…気分上々
尾根分岐手前の小さな池。降り積もる雪に凍り始めていた。


焼酎のお湯割りをしようとしていたらpanaさんから美味しいお酒の差し入れ。これは美味しい。一杯頂戴する。それに自分の焼酎も飲んで気分上々だ。と思っていたらみなさん早くも撤収のご様子。慌ててカップ麺を食べたがそれでも間に合わず先に行ってもらう。まあ、ショートカットすれば追いつけるだろう。もう少し休んでいよ。と思ったのも束の間、先で呼ぶ声がする。ホイッスルも鳴っている。何かあったのか?慌てて荷物を片づけて後を追う。

アルコールでふらふらの身体を無理矢理運んで谷を登っていく。やがてみんなの姿が見えてきた。何があったんだ?しかし、みんなの顔は穏やかで何かあったという感じではない。

「見て。この尾根。素敵な樹林でしょ」

どうやら思いがけず出会った素敵な森を僕にも見せたくて呼んだらしい。心優しい方々だ。

確かに緩やかな尾根に広がる森は素晴らしい。ここで休憩してもいいぐらいの感じだ。伊勢山上住人さんもpanaさんもこれは新しい発見であったらしい。かなり興奮気味だ。

後ろ髪を引かれるように素敵な森を後にして木屋谷の源頭部に至る。この辺りもなかなかいいところだ。ここから右手へトラバース気味に進んでいって馬駆ヶ場からの尾根に乗りランチ前に確認した尾根の分岐点に至る。ここから尾根を下っていく。途中にまた素敵な木々があり立ち止まりみんなで見とれた。尾根を下りきると後は谷沿いを歩いて今朝歩いた林道にいたり本日の山行も終了となる。

下山した頃わずかに青空が覗いた。晴れ男の面目躍如といいたいが今頃晴れてもなあ。

今回は悪天といいながらも楽しい山歩きができた。しかし、次回訪れるときにはぜひとも朝から晴れていて台高の山並みをこの眼に見せて欲しい。