根尾下大須・能谷


2007年9月16日(日) 雨  そばつる HAL  Tsutomu



8:50 下大須下村出発 → 9:10 堰堤 → 10:05 30m3段滝 → 
10:55 引き返し地点 → 11:10〜12:15 滝の落ち口で休憩 → 13:25 下村着



母の四十九日を9月9日に終えて再び根尾へ向かった。


今回は数年前に釣りで入ったことのある能谷に向かう予定だ。
能谷は大垣山協「美濃の山」第二巻、中越山の項の地図に名前だけが記されている。
この谷の取り付きあたりに新婚時代の両親が暮らしていたそうだ。
その家は今はもちろんないが、これも母の供養のひとつになるだろう。


実は前回の山行では下山中にクマの親子に遭遇し藪越しにうなられた。
そのことが頭にあり一人で入るのはどうにも心細くHALを誘った。
HALは沢歩きの経験など全くないがそれほど難しそうなところでもなかったと思うので大丈夫だろう。


間際になって大垣山協の山行(銚子洞の予定だったらしい)が
台風の影響で中止になり時間が空いたと言ってそばつるが参加することになった。


下村の家で前泊をして翌朝早く出発する予定だったが当日は雨の予報。
恐らく山には入れないだろうと僕も含めてみんなフル宴会モード。
だいたいこのメンバーで飲まないということがあり得ないので
夜の9時半に着いてからビール、日本酒、ウィスキーを次から次へ空けていく。
最後は気絶するように眠りについた。
もちろん何を話していたかなんて覚えていない。


しかし、体とは不思議なもので何時も目覚める時間になると不思議と目が覚めた。
くらくらする頭で外を見るとガスがかかっているが思ったより明るい。
これなら稜線まであがることはできなくても沢遊びくらいはできるのではと行く気に火がつく。
そうするとじっとしていられなくなり、まだ寝ころんでいる二人を脇目に散らかった部屋を片づけて沢歩きの準備をしだす。
ちょっとだけ遊んで来ようと誘うと二人も仕方なさそうに準備をしだした。



少し小雨模様の中を出発。下村から草ぼうぼうになったかつての生活路を北に下りていくとノガシマという地区に出る。
この最奥に両親の家があった。
今ではとても人が生活していたとは思えないそのあたりから能谷の流れへと下りた。


雨のせいで若干水かさが多いようだ。
登山靴しか持ち合わせていないHALの為になるべく流れを避けてと思っていたが無理なようだ。
彼も早々に諦めたようで振り返ると登山靴のままジャブジャブと流れの中を歩いていた。
しかも沢靴のそばつる、僕と遜色のない歩きで着いてくる。体格のなせる業か。


すぐに堰堤が現れる。
かつてはここがいい淵になっていていかにも大物がいそうな所だったが今では土砂に埋まってしまっている。
ここを右から巻いて上に出る。
ここも土砂に埋もれてかつての雰囲気はない。



しばらくで谷が狭まりゴーロ状となる。
段差のある流れや滝らしいものもポツポツで出しHALに「滑ったらあかんよ」と声をかける。
「滑ったらあかん、と言われても…」そりゃそうだ。


しかし、HALは登山靴とは思えないような歩きで着いてくる。
時には先になって、えっ、こんな所登っていったの、とビックリさせられる。
そばつると「沢靴を履かせてみたいなあ」などと感心していた。
彼にはぜひ沢靴か沢足袋を買ってもらいたい。
たぶん本人にその気はないと思うが…。



谷の斜度が増してくると滝らしい滝が幾つか現れる。
増水していて結構迫力もある。
そこを果敢にそばつるが登っていく。
そばつると沢を歩くのは初めてだが大垣山協で幾つか経験があり見ていても結構安定して登っていく。
登山靴のHALにはもちろん巻き道を指示。
僕はそばつるの前になったり後になったりして滝を楽しんだ。



最後は3段30m位の滝。
釣りに来たときはとてもじゃないが登れないと思って左を巻いたが今見ると結構登りごろな感じだ。
しかし水量が多く、下の滝はパスして左から巻いた。
途中から再び滝に入り二段目を楽しむ。
その上も登りやすそうな感じで取り付いてみたが三度取り付いて三度とも滑り落ちた。
最後は膝を打ったので諦めて左に巻いていった。
もう少し水量が少なければ登れそうだ。



落ち口では先に巻いてあがっていたHALが「あんなことするんだね」と呆れて待っていた。
落ち口の上は穏やかな流れだがすぐに岩が谷を埋めるようになる。
進んでいくと谷が次第に左に曲がっていく。
ここで僕が沢の読み違いをし余計なアルバイトをしてしまった。


結局元に戻りちょっと進んだところで雨が強くなってきてこれを切りに引き返すことにした。
地形図上では580m付近か。


滝の落ち口に戻って小雨に打たれながら休憩。
「今日は楽しい一日が過ごせた」と二日酔いと雨の中をつきあってくれた二人に感謝。
次はぜひ晴れた日に遊びたいものだ。



休憩を終えてからは懸垂下降をしたいというそばつるに
ハーネスを貸して(自分のは下村の家に置いてきたらしい)ザイルを出してやった。
彼はまあそこそこに下りていって、その後をゴボウで下りようとしてちょっとバランスを崩し肩を岩で打った。
落ちることはなかったが下で見ていた二人はヒヤヒヤだったに違いない。

前回のヘジリ谷はしんみりと母の魂を辿った山行だったが
今回は母の懐で楽しく遊ばせてもらったという感じで供養になったかどうか怪しい。
しかし二人のおかげでとても楽しめた山行になった。
ありがとう。