八草川〜金糞岳


2008年6月28日(土) 曇り 八草川〜金糞岳  奥美濃 揖斐  単独  沢歩き


7:30 八草川林道駐車地 → 8:00 入渓 → 8:40 二俣 → 10:10 10m滝 →
11:35 登山道 → 11:45〜12:20 金糞岳山頂 → 12:40〜13:00 白倉岳 →
13:55 林道 → 14:45 駐車地


八草川から金草岳は記録を読む限り難しそう。
その上水量が多ければ僕には無理だろう。
でも行きたい。



週末の天気を気にする毎日。
木曜、金曜はほどほどの天候だった。
土曜の予報は曇り、夕方近くから雨。
これで決まり。
八草川に行こう。



珍しく鈴鹿詣でが続き久々の奥美濃。
特に揖斐川流域は足が遠退いている。
国道303号を走っていると何だか懐かしく感じる。



八草トンネル手前で左手の旧道に入る。
「通行止め」のゲートがしてあるが車一台分あけてあり進入。
ここからは何があっても自己責任ということになる。



旧道は思ったほど荒れておらずやがて石碑の立つ八草峠に着く。
ここから未舗装の八草川左岸尾根林道に入る。



林道は直ぐに尾根通しの道と川へ下りていく道に分かれる。
しかし川へ向かう道は直ぐに崩れた岩で寸断されていた。
その手前に釣り客のものだろうか、車が一台停まっていた。



車を林道分岐すぐ手前の広場に停め出発。
川に向かう林道を歩いていく。
寸断されているが歩く分には問題ない。
林道から前方を見るとガスが上部を覆っている。
雨にならないことを祈ろう。



30分ほど歩いて流れのすぐ脇にでる。
早速流れに入る。



思ったよりも流れは穏やかだ。
山日和さん風にいうなら「平凡な渓相」ということになるのだろう。
しかし谷巾が狭く立っているので増水時は大変だろう。
天候を見て来たのは正解のようだ。



順調に進んで幾分広い所に出る。
その奥は狭くなっていて岩に挟まれた淵の向こうに小さな滝。
ここはこの淵を越えなくてはならない。



濡れるのを嫌ってなんとか左手からヘツれないかと試みる。
しかし、最後のところでホールド、スタンスとも見つからない。
なんとか見つけようともがいている内にバランスが崩れた。
ワア…。



アッという間に全身水の中。
こうなればもう諦めもつくというもの。
半身水に浸し堂々と淵の中を歩いて正面から小滝を登っていった。



奥にも同じようなサイズの淵と滝がありこれも同じように正面から登る。
なんだかスカッとして気持ちいい。



淵2連を越えると二俣に出る。
右俣出合の小滝が良い感じでこちらにも行きたくなる。
しかしそれはまたの楽しみということにして本日は左俣に進む。



良い感じの淵や小滝が幾つか続く。
いずれもジャブジャブと楽しく越していく。
両側が岩壁の5m滝の直登はなかなか楽しかった。



その後もチョックストーンやら淵やらが続き
半身水をかぶりながら越えたり、失敗してドボンしたり。
今日は水との戯れが楽しい。



更に先に進むと谷は徐々に藪っぽくなり覆い被さる木々を越えていくようになる。
なんだか疲れるなあと思っていると明るい所に出て少し休憩。



休憩地の先には小滝がありその向こうはどうもゴルジュ帯のような雰囲気。
両側の岩が鋭く切り立っている。
もしや越えられないような大滝があるのでは…。



小休止を終え小滝を登るとやはりその先はゴルジュだった。
切り立った岩壁の間に深そうな淵。
どうやって越そう。



取りあえず右をヘツってみようと試みるがドボン。
ええい、ままよ、とザブザブ。
ちょっと乾いてきていたのにまた全身ずぶ濡れ。
水深の深いところで足を突っ張っていたらつりそうになった。



なんとか淵を越えて先に進むと右手に思った通り大滝。
「ゴルジュを進むと右手に大滝」はなんだかパターン化されているような。
気のせいだろうか。



瀑音がしなかったのでもしかしたらと思ったがそうはいかなかった。
瀑音がしなかったのはこの滝が斜瀑だからだろうか。
しかし斜瀑といっても容易な斜度ではない。



きれいな弓なりの弧を描く滝は10m以上あるように見える。
U字状の溝に沿って水を落としている。
ひょっとしてこの溝に手足を突っ張っていけば登れるのでは。
そんな事が頭をよぎるが上部で力つきたらどうにもならないだろう。
ここは高巻こう。



左手のルンゼをよじ登って小尾根にあがり直ぐに谷に向かって下る。
運良く難しいところもなく谷に下りることができた。



滝の落ち口に立ってみる。
やはり最後でどうにもならない感じだ。
少なくとも僕にはそう感じられる。
登らなくてよかった。



その後も幾つか小滝が現れる。
「もう滝はいいわ」と思いながらも登っていく。



左手の支沢から15mほどの滝が落ちている。
それを見て更に進むと水流は徐々に細ってきてやがて源流部にいたる。



源流部は思っていたより緩やかな感じだ。
しかし藪が濃い。



本流筋をこのまま進むと金糞岳、白倉岳の最低鞍部に出てしまう。
できるなら金糞岳山頂に直に出たい。
で、頃合いのいいところで左手の支沢に入った。



支沢は廊下のような感じで歩きやすい。
やがて沢も終わりいよいよ逆相樹林帯。
えっちらおっちら越えていくともっとやっかいなシャクナゲ群落。
それもかなり濃密…。



行く手を阻むシャクナゲを踏みつけかき分けして悪戦苦闘。
実に本日の最難関だ。
次から次へ現れる新たなシャクナゲ隊にゲッソリ。



そうこうしているとちょっと開けたところから左右の景色が見えた。
ゲッ、左手にピークが見える。
右手方向にはなんだか見覚えのある岩場の稜線。
この二つの景色から導かれる答え…



左手ピークは目指していたはずの金糞岳山頂。
右手稜線は白倉岳に続く稜線。
で今いるところを進んでいくとその間の登山道に出るということ。



そういえば源流部で左手に気になる支沢がありあっちかなあと一瞬思ったのだ。
あっちだったのだ。
なんだか気が抜けた…
で稜線沿いの登山道にさっさと出るべくシャクナゲを避けてトラバース。



登山道には直ぐに出られた。
もう金糞岳山頂に行くのはやめようかなと思ったが気を取り直して向かった。



こんな日だからだろうか、何時も賑やかな山頂は誰もいない。
ガスって景色は見えない。
それでも腰をおろして早速乾杯。
疲れた身体にエネルギー注入。



気持ちよく休んでいるとどこからかいろんな虫が現れまとわりつく。
虫除けをしても効果無し。
これには閉口して休憩も早めに切り上げた。



白倉岳もまたガスって景色は見えず。
コーヒーを煎れたが雨がポツポツしてきたのと
相変わらずの虫で落ち着いて飲んでいられなかった。



白倉岳からは県境尾根伝いに下山する予定。
谷を下る手もあるが雨が落ちそうなので早めに切り上げたい。



白倉岳から南へ下る道は晴れていれば琵琶湖が見えるのだが今日はダメ。
道はきれいに刈られており歩きやすい。
しかしそれも高山方面と八草峠方面への分岐点まで。



高山方面は道が整備されている。
この道を使う登山者も多いのだろう。
八草峠方面の方は藪が被さっている。
それまでの道とあまりにも差がありすぎて一瞬入るのをためらってしまう。



しかしそれも慣れの問題だ。
踏み跡があるだけでも随分歩きやすいものだ。



県境尾根を進んでいくとブナ林が現れる。
結構太いものもあっていい感じだ。
今日の疲れを癒してくれる。



やがて踏み跡は灌木に埋もれるようになるがそれでもなんとか辿れる。
やがて尾根の左手、滋賀県側に林道が見えてくる。



踏み跡に従って林道に下りる。
後はのんびり林道歩き。



小雨がぱらぱらしているが気にならない。
なんだか今日は気分がいい。
そういえば沢を歩いていてもビビる事がなかった。
どうしてだろう。



帰りは旧道を滋賀県側へ回ってみた。
こちらの道はかなり荒れていた。
最後も厳重なゲートがしてあり道路外を通って新道に出なければならなかった。