焼合谷〜釈迦ヶ岳


2008年6月13日(土) 晴れ  焼合谷〜釈迦ヶ岳  鈴鹿  単独  沢歩き


7:00 尾高キャンプ場手前駐車地 → 8:05 女郎滝 → 10:30 釈迦ヶ岳山頂 →
10:35〜11:50 松尾尾根の頭 → 13:20 駐車地


今年の目標の一つにこの焼合谷から釈迦ヶ岳があった。
先週の緑水さんとの流れ谷遡行で気持ちが固まった。
天気も上々と来ている。



尾高キャンプ場近くの広場に車を停める。
すでに先客の車が一台。
どうやら釣り人らしく準備をしている。



「済みません、沢を歩いていきたいんですが」
「どうぞ、遠慮なく。出遅れてここに来ただけで期待してませんから」
気のよい方で準備をしながらしばらく話しをしていた。
仲間内ではこの谷をションベン谷と言うそうだ。



釣り人は先に行かれた。
後を追うように焼合谷の東海自然歩道に入っていく。



東海自然歩道とはすぐにわかれて沢沿いの植林帯を歩く。
直ぐに堰堤前で糸をたらす先ほどの釣り人に出会う。
尋ねるとどうやらリリースサイズしかかからないようだ。



お先に行きますと断ってなるべく沢に入らないように先に進む。
二つ目の堰堤をこしすぐに赤い岩肌で階段状の登りやすい滝が現れる。



滝をとんとんと登ると前方に高さのある堰堤。
どうやって巻こうと思って右手をみると林道が見えた。
こんなところまで林道が来てるのだ。
あがってみるとコンクリート舗装がまだ新しい。
堰堤を少し越えたところが終点だった。



終点のあたりは最近工事をしたような雰囲気。
コンクリートの構造物もあった。
これではここから下では釣りにならないだろう。



再び沢に入って進むと小滝が現れ良い雰囲気。
いいなあと思っていると滝の前に糸をたらす人が…。
釣りに集中しているようなので腰をおろしてしばらく様子を伺った。
やがてこちらに気付いた。
年配の方だった。



「済みません。沢を登っていきたいのですが」
「ええ、早い方が優先やからな。沢なんかに入られたら困るわ。道を歩いてよ」
困った。
「そうですよね。じゃあ山の方を巻いていきます」
としばらく悩んでいるとその方は滝を巻いていった。
その後をついて滝を巻き上に上がると広い川原だった。



「先に行ってもいいけど沢になるべく入らんといてよ。楽しみにして朝早くから入ってるんだから」
ちょっと反応が変わった。
「それはもう僕も釣りをしてましたからわかります。気をつけます」
そう言って先に行かせてもらうことができた。
最初はどうなるかと思ったが気のいい人でよかった。



こういった理由でしばらくは沢からなるべく距離をおいて遡行した。
なるべく釣りポイントを残しておいてあげたかった。
そのため良い感じの滝や滑をいくつかやり過ごした。



しかし、やがて我慢も限界になり淵のある2m程の二条滝は真ん中から越していった。
その後に続く滑もジャブジャブと歩いていく。
頭の中でおじさんに謝りながら…



前方に大きな淵を持つ8m程の滝が現れた。
おそらく女郎滝だろう。
これはおじさんに残しておこうと直登は避けた(本当は直登ができそうになかった)



女郎滝の上は感じのいい滑。
この辺りの雰囲気は揖斐の竹屋谷に似ている。
広くて明るい感じだ。



階段状の滑のある二俣を右に進むと小規模だが淵のある滝が幾つか現れて楽しい。
滑やトイ状の滝も現れて飽きない。



一旦水流が涸れるがガレを越していくと再び水音がしだし滝も現れる。
この辺り谷の両側の岩肌が立って迫ってくる感じだ。
その間を細い滝が落ちている。
しかし、何れも楽しく登ることができる。



上部の方の15mほどの滝で一箇所だけ越すのに苦労した。
滝の左側をこせば易々と行けそうだったがわざわざ水流の中を行ったのだ。
そしたら上部でホールドが難しくなった。
どうしようと思ったがいろいろ探っている内になんとか越すことができよかった。



最後の赤い壁のような滝をこして行くと沢は広く緩やかになる。
この辺りは矢原川の上部のような感じだ。
明るくて伸びやかでホッとする。



ここで渓流靴からスパイク地下足袋に履き替え上部を目指す。
沢の左よりに進んでちょっと岩場をこすと釈迦ヶ岳山頂手前の登山道に出た。
山と高原地図だけで来た割には目的地にドンピシャで出ることができた。
しかし、ギャラリーがいないことが少し残念。



三角点を踏んで休憩は松尾尾根の頭(かしら)で。
先に休んでおられた方に「沢ですか?」
と聞かれ「そうです」と答えるとうらやましがられた。
この方とヒルの話しやらクマの話しをして楽しく時間を過ごす。
その内その方の仲間が到着しまたどこかでと挨拶して別れた。



その後は次から次へ庵座谷から登ってくる。
下山時に庵座谷ルートの岩場をみると渋滞ができていた。
話しによると観光バスが2台入っているそうだ。



たっぷり休憩して下りは松尾尾根の途中から県民の森へ向かう道へ。
アルコールが調度いい感じで働いて駆け下りるように下っていった。



焼合谷は想像以上に良い感じの谷だった。
登りごろの滝が連続するのも上部の穏やかさもいい。
好きな谷になった。