「天竺菩提樹を育てる会に寄せて」

                                     元日印教育協会総裁 前田行貴
天竺菩提樹はインドボダイジュともいわれ、サンスクリット語でPIPPALA、

英語ではBODHITREE、学名はFICUS RELIGIOSA L.である。

インド原産のクワ科植物で榕樹の一種であり、常緑性高木で葉は三角状広卵型にして無毛、

全縁性のなめらかな革質で長い柄があり、先端は長く尾状に尖って独特の優雅さを呈している。

インドでは酷暑期入る4月上旬頃一斉に落葉する傾向はあるが、一般の落葉樹とは異なり、一

週間位で新緑の美しい葉を展開する。この果実は隠頭花序でイチジクに似て小さく直径
1センチ

程度である。日本では温室栽培が可能あり、5〜6月頃播種すると植木鉢の中でよく発芽して、

夏季には順調に生育する。

しかし熱帯植物であるから霜や雪に見舞われると枯れ死するので、普通の路地栽培ではだめであ

る。冬の間は屋内で保護してやれば、5〜6月には新芽が伸びて、7〜8月は熟して成長する。

釈尊は5年間難行苦行の果てに、伽耶城外に繁る天竺菩提樹の下で、一週間の断食瞑想の暁に、

大いなる悟り、すなわち正覚成道・菩提に達せられた。それ以来、天竺菩提樹は一入神聖な樹木

として尊崇され、南方仏教圏を始め熱帯、亜熱帯地方では植樹祭など催される際に重用され、今

日では軒先や庭園に、又街路樹として裁植されている。

また、果実は鳥類の餌としても好まれるので、自然の分布は広範囲に及び、その自生の大樹の存

在するところは、地下水の存在を示すので、インジゲート(指標)植物の一つでもある。

尚、天竺菩提樹の北限以南が降霜に見舞われない地帯であることも示している。

日本の由緒ある寺院などで菩提樹として珍重され栽培されているものは、中国原産のシナノキ科

のボダイジュで、葉は長さ5〜10センチで鋸葉があり、下面には白色の毛が密生し植物学的に

は全く別種である。1168年27才の折入宋した栄西(臨済宗の開祖)は天台山に登って修学

、帰国の折に天台山からこの幼苗を持ち帰って、比叡山の浄土院に植えたのが最初だと伝えられ

、その後仏樹として多くの寺院に植えられている。中国菩提樹又はシナボダイジュとよばれるも

のである。

シューベルトの名曲で有名なリンデンバウムも、またシナノキ科に属する種類で、欧州では街路

樹として植樹され、ベルリンのウンテルデンリンデン街の並木は一入美しい。

それらは一般的に欧州中部から南部一帯にわたって分布している洋種菩提樹のことである。

 

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